コラム
[2016年06月05日]

陥入爪、彎曲爪(巻き爪)について


今回は陥入爪、彎曲爪(巻き爪)について一般的なお話です。

原因
先の細い靴による圧迫・立ち仕事や肥満による過度の体重負荷・深爪などの不適当な爪切り・爪白癬・糖尿病・腎不全などによる爪甲の変形・外傷による傷害・爪甲あるいは指趾の奇形などにより生じます。

病期(Heifetz)は以下の3期に分けられます。
第1期:軽度の発赤と炎症がみられる急性炎症期
第2期:発赤が増強し排膿がみられ、疼痛のため靴が履けない排膿期
第3期:慢性炎症で強い発赤と腫脹がみられ、肉芽が形成され、易出血性で悪臭がある肉芽形成期

治療
治療法は大きく(1)対症療法、(2)保存療法、(3)手術療法に分けられ、それぞれの治療法の中でも様々なものがあります。各々の治療法の短所、長所を確認し、爪の形、年齢、体格、生活状態、病期などを考慮しその人に合った適切な治療を選択することが重要です。

(1)対症療法:爪切りの指導、消炎鎮痛剤、履物の指導、局所の消毒、抗生剤の外用・内服、肉芽腫の治療(ステロイド外用,局注,液体窒素による冷凍凝固,硝酸銀焼灼)
(2)保存療法:ガーター法、アクリル人工爪法、テーピング固定法、ソフラチュール挿入法、ワイヤー法、VHO法
(3)手術療法:鬼塚法(爪母と爪郭の1部を切除)・全抜爪術・フェノール法・爪床形成術

以下にそれぞれの治療法の概要を簡単に示します。

ガーター法(Gutter treatment)
1979年Wallace等により紹介されました。適応はほとんどの症例です。
方法
陥入した爪の外側をモスキート鉗子で持ち上げて横に広げて形を整えます。点滴用チューブに縦に切れ目を入れ、爪に沿わせて挿入し、ネイル用接着剤にて固定し切り整えます。固定チューブは自爪が伸び矯正されるまで1〜3ヶ月置きます。チューブ除去時はアセトンにて容易にはずれます。
長所:施行後の爪の形が自然
欠点:疼痛、違和感が強い

アクリル人工爪法
角の切り落とされた爪、極端に短い爪などガーター法、ワイヤー法やソフラチュールの挿入ができない症例に適応となります。陥入している爪の部分を切除し、爪の欠除している部分に補足的人工爪を製作します。自爪が足趾先端を超えて生長するまで続けます。
長所:見た目が自然であり、ペディキュアも可能
欠点:強い衝撃により人工爪が割れやすい。一般的には炎症、肉芽腫を伴う症例には不適(当院では可能です)

テーピング固定法
爪の角が深く三角に切られていて、ガーター法やワイヤー法、ソフラチュールによる治療が不可能な場合、あるいは応急処置として施行します。
幅1〜1.5cm 長さ5cmの布製の絆創膏を炎症のある側爪廓に固定し、もう一方を反対側に斜めに引っ張るように回して固定します。

ソフラチュール挿入法
モスキート鉗子で爪の外側を持ち上げ、ソフラチュールを挿入します。経過により連日〜1週間毎に取り替えます。
挿入の仕方も患者に指導します。

ワイヤー法
超弾性ワイヤーの強い弾力を利用し、爪の先に穴を開けそこにワイヤーを通して爪を矯正します。
長所:麻酔の必要がなく手術中、手術後の疼痛がない。合併症を起こさない。
短所:治療に数ヶ月要する。爪が伸びていないとできない。再発することがある。保険適応がない。爪の弱い人には不適(爪が割れてしまう)。

VHO法
爪の角が深く三角に切られていて、ガーター法やワイヤー法、ソフラチュールによる治療が不可能な場合、あるいは応急処置として施行します。食い込んでいる爪の側縁にワイヤーを引っ掛け爪を矯正します。
長所:深爪をしていても施行可能
短所:保険適応がなく高価。疼痛、違和感が強い。矯正力はワイヤー法に劣る。

鬼塚法
メスを用い爪甲側縁の爪母を切除します。
短所:術者が未熟である場合爪母の取り残しによる再発や、上皮成分の埋入によるepidermal inclusion cystを形成することがあります。また術後の疼痛が激しい。

全抜爪術
爪をすべて抜いてしまいます。疼痛を一時的に緩和します。
短所:再発率が非常に高い。

フェノール法
陥入している爪甲を抜去しフェノール処置を行い、陥入部位の爪の再生を抑制する。\r\n長所:再発率が低い。手術時間が短い。術後の疼痛が少ない。感染を併発していても行える。
短所:完治するまで3〜4週間かかってしまう。

爪床形成術
彎曲爪(巻き爪)の重症例に適応となります。抜爪後爪床を皮弁とし、骨膜上で挙上し皮膚切開にて皮弁を広げ平坦にし、縫合します。爪床の形を変えて爪甲が側爪郭に食い込みにくくします。
長所:爪甲の幅は保たれ、整容的に優れている。
短所:手技が複雑で、術後の疼痛が強い。また、1〜2週間の入院が必要。

*爪の治療は武蔵境の「財満皮膚科クリニック」で予約にて行っております。初診の方は予約は必要ありません。