コラム
[2016年05月13日]

ステロイドなんか怖くない(1)


【ステロイドバッシング】
1992年7月「ニュースステーション」で久米宏が、ステロイドの副作用に関する特集の最後に、「ステロイドは最後の最後ぎりぎりまで使ってはいけない薬」とコメントしたことから端を発し、その後、数々のマスコミがステロイドバッシングを行ったことで、医者に不信感を持った「ステロイド恐怖症」のアトピー患者が急増しました。
その後、マスコミが「脱ステロイド」治療法を大々的に取り上げたため、「脱ステロイド」を謳う医者や民間療法などが、雨後の筍のように急激に増えていきました。これらの療法のなかには、治療効果がないにもかかわらず高額の機器や健康食品などを購入させるいわゆる悪徳商法も数多く存在していたため、急にステロイド外用薬の使用をやめることによって症状が悪化し、苦しむ患者が増加していきました。
この状況を見かねた日本皮膚科学会が、ステロイドバッシングが始まってから10年近くたった2000年5月にやっと重い腰を上げ、「ステロイドの適正な使用が正しいアトピーの治療法であることを患者に説明し、ステロイドに対する混乱を沈める目的」で「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン」を発表し、皮膚科医の啓蒙活動を行い始めました。結局、マスコミと悪質な民間療法によって、アトピー患者が翻弄された10年間だったのです。
その後20年以上経ち、現在ステロイド恐怖症のアトピー患者はあまりいなくなりましましたが、ステロイドに不安を持つ人は、まだ半数以上いると言われております。医療関係者でさえステロイドを恐がり、氾濫する情報に混乱している人もいます。
最近はアトピー患者が騙されなくなったため、ターゲットを不安でいっぱいの妊婦に変え、未だ悪徳商法は続いています。
今後、自分たちの体を守るためには、ステロイドに関して氾濫した情報に踊らされることなく、自分自身で知識を身に付け、何が本当に正しいのかを冷静に判断する必要があるのです。

【ステロイドの副作用】
「内服と外用の違い」
同じステロイドでも内服(飲み薬)と外用(塗り薬)では大きく違います。ステロイド外用剤はたとえ副作用を生じたとしても、それほど重篤なものはなく、中止すれば元に戻ります。

「内服」
・消化管潰瘍・感染症の誘発、増悪・中心性肥満・副腎不全、離脱症候群・糖尿病・うつ状態・精神障害・骨粗鬆症と骨折・低身長・大腿骨頭壊死症・動脈硬化病変・高血圧・不整脈・うっ血性心不全・白血球増多・皮下出血・低カリウム血症・異常脂肪沈着・多毛・皮膚線条、皮膚萎縮・発汗異常・浮腫・ステロイド筋症・白内障・緑内障・眼球突出・中枢神経興奮性亢進・味覚・嗅覚の低下

「外用」 (たとえ副作用を生じても中止すれば元に戻ります)
・多毛・皮膚の萎縮・塗った場所が赤くなる・色素脱失・毛細血管の拡張・皮膚の感染症の悪化や誘発