巻き爪
巻き爪の治療を受ける理由として最も多いのは、「痛み」に関する症状です。痛みがあると、歩行やスポーツなどの日常生活に支障をきたすことがあります。また、痛みをかばうことが原因で、膝や腰などの他の部位に負担がかかることもあります。特に高齢の方々では、巻き爪の痛みによって歩行が不自由になり、その結果として生活に支障をきたすことがある場合もあります。
巻き爪に関するよくある質問
Q1. 巻き爪はどんな症状ですか?
Q2. 巻き爪の原因は何ですか?
Q3. 巻き爪になるとどんな治療を受けることができますか?
Q4. 巻き爪の治療は痛いですか?
Q5. 巻き爪の治療はどれくらいの期間がかかりますか?
Q6. どんなときに巻き爪を治療するべきですか?
Q7. 巻き爪の治療は保険が適用されますか?
Q8. 巻き爪を予防する方法はありますか?

Q1: 巻き爪はどんな症状ですか?

A1: 巻き爪は、爪が内側に丸まってしまう病気です。特に足の親指に多く見られ、悪化すると爪の端が皮膚に当たって痛みを感じることがあります。歩行時に痛みを感じる方は多いです。

Q2: 巻き爪の原因は何ですか?

A2: 巻き爪の主な原因は、爪を間違った方法で切ったり、足に合わない靴を履いたりすることです。また、歩くときに足の指をうまく使わないことや、年齢による変化も影響することがあります。

Q3: 巻き爪になるとどんな治療を受けることができますか?

A3: 当クリニックでは、巻き爪を元の爪の形に戻すための矯正治療を行っています。具体的には、ワイヤー法やプレート法などの方法があります。どの治療法を選ぶかは、患者様の爪の状態に合わせて決定します。

Q4: 巻き爪の治療は痛いですか?

A4:ほとんど痛みはありません。治療中に不安なことがあれば、いつでも医師に相談してください。

Q5: 巻き爪の治療はどれくらいの期間がかかりますか?

A5: 巻き爪の治療にかかる期間は、症状の進行具合や使用する治療法によって異なります。治療を始めてから数週間から数ヶ月かかることもありますが、早期に受診して治療を開始することが大切です。

Q6: どんなときに巻き爪を治療するべきですか?

A6: 巻き爪が進行すると、歩くときに痛みを感じたり、爪が皮膚に食い込んで赤くなったりします。痛みが強くなったり、見た目に変化を感じたら、早めに専門医に相談することをお勧めします。

Q7: 巻き爪の治療は保険が適用されますか?

A7: 保険診療適用外となる治療がほとんどです。具体的な治療費については、診察時にご説明します。

Q8: 巻き爪を予防する方法はありますか?

A8: 巻き爪を予防するためには、爪を正しい方法で切ることや、足に合った靴を選ぶことが大切です。また、歩くときに足の指をうまく使うよう意識すると良いでしょう。
※このQ&Aは一般的な情報に基づいており、効果や感じ方には個人差があります。症状に関しては必ず医師にご相談ください。
巻き爪のレクチャー目次
巻き爪の症状
治療方式
各治療法の概要
巻き爪の原因
巻き爪の治療法
・ワイヤー法
・プレート法
・VHO法
・鬼塚法
・全抜爪術
・フェノール法
・爪床形成術
巻き爪の症状
巻き爪が進行すると、爪の先端が皮膚に食い込むことがあり、その結果、赤みや腫れ、痛みが伴うことがあります。炎症が進行すると、肉芽(にくげ)という赤いできものができることがあり、場合によっては陥入爪が合併することもあります。
※巻き爪と陥入爪は似ている症例もありますが、異なる点があります。
【巻き爪と陥入爪の違い】
• 巻き爪
爪が巻いており、痛みを伴うことがありますが、必ずしも皮膚に刺さるわけではありません。また、痛みがなくても爪が巻いている場合があります。
• 陥入爪
爪自体は巻いていませんが、皮膚に爪が刺さっており、腫れや痛みが生じることがあります。
【巻き爪と陥入爪の合併】
爪が巻いており、同時に爪が皮膚に刺さって腫れや痛みを伴う場合があります。
治療方式
治療法にはいくつかの種類があり、それぞれに長所と短所があります。そのため、患者様の状態に応じて、複数の治療法を組み合わせて行うこともあります。治療法を選択する際に重要なのは、患者様の痛みを軽減し、できるだけ快適に治療を受けていただくことです。また、治療後に後遺症が残らないよう、慎重に進めていくことも大切です。

当クリニックで行っている治療法の具体例を説明します。
当クリニックでは、2006年から巻き爪矯正を専門に行っており、これまで多くの患者様に治療を提供してきました。年間で約千人の方々にご利用いただいており、専門的な経験を基に、患者様一人ひとりの状態に合わせた治療を行っています。痛みの軽減や安全性に配慮した治療を心掛けており、患者様の負担をできる限り少なくすることを目指しています。
(1)ワイヤー法
ワイヤー法は、爪に穴を開けてワイヤーを通す治療法です。ワイヤー法に不安を感じる方もいらっしゃいますが、適切に施術を行えば、多くの場合、巻き爪の改善が見込まれることが一般的です。しかし、すべての巻き爪に適応できるわけではなく、爪の状態によっては他の治療法を併用したり、治療方法を変更することもあります。
ワイヤー法は、爪が伸びており炎症を伴わない巻き爪に適しています。治療ではまず、爪の表面を削って整えることが重要なステップです。この削る過程が、矯正の基本的な技術となります。その後、爪の先端に小さな穴を開け、ワイヤーを通します。超弾性ワイヤーの強い弾力を利用して爪の形を矯正します。施術中や施術後に痛みを感じることは少ないため、麻酔が不要な場合がほとんどです。爪が伸びてきたら通常1〜2ヶ月ごとにワイヤーの交換を行いますが、爪の状態や治療の進行具合により、治療期間や頻度が異なる場合があります。
治療の進行については、患者様の爪の状態に基づき、随時ご説明いたします。
また、爪が短くて伸ばすことが難しい場合には、プレート法を行い、爪が伸びてからワイヤー法を行うことがあります。爪が弱い方は治療の過程で爪が割れてしまう場合もありますが、その際には必要に応じて爪の補強を行います。また、ワイヤーを使用することで見た目に不安を感じる方もいらっしゃいますが、施術後アクリルで保護することで目立たなくし、ペディキュアを塗ることが可能です。

以下は、当クリニックで行うワイヤー法の施術方法を説明します。
留意点※あくまで一例であり、すべての患者様に当てはまるものではありません。治療法の選択や進行については、担当医と十分にご相談ください。
※写真は個人差があるため、結果を保証するものではありません。
※すべての写真は施術前説明・同意の上で撮影されたものです。
※症例写真(掲載許可取得済)

右足親指の巻き爪です。
ワイヤー法はこのように深爪をしておらず、炎症を伴わない巻き爪には良い適応となります。

爪の表面を削って整えます。
矯正において重要な手順の一つです。爪矯正にはさまざまな方法がありますが、どの方法にも共通する基本的な技術となります。

爪の先端に注射針を使って小さな穴を開けます。
患者様ごとに新しい注射針を使用し清潔な環境での施術を徹底しておりますので、ご安心ください。また、施術中や施術後に痛みを感じることが少ないため、多くの患者様において麻酔は不要です。

反対側にも穴を空けます。
穴を空ける位置、角度が重要です。

空けた穴にワイヤーを通します。
超弾性ワイヤーの強い弾力を利用して爪の形を矯正します。ワイヤーは数種類用意してあり、爪の状態によって最適な強さの物を選びます。

ワイヤーを切って長さを整えます。
ワイヤー法はこれで完成ですが、このままですとワイヤーが引っかかったり抜けてしまったりしてしまいます。毎日自分でテープを貼って防ぐ方法もありますが、なかなか大変です。
当クリニックでは、ワイヤー法による治療後、仕上げとしてアクリルで爪を保護します。アクリルで覆うことにより、ワイヤーが引っかかることや外れることを防止するだけでなく、爪が割れるリスクを軽減する効果も期待できます。また、ワイヤーを使用することにより見た目に不安を感じる方もいらっしゃいますが、アクリルで保護することで目立たなくなり、ペディキュアを塗ることも可能です。
さらに、巻き爪の予防には、爪の切り方や歩行習慣、足に合った靴の選び方も重要です。当クリニックでは、これらの点についても患者様へのアドバイスや指導を行っており、巻き爪の再発予防に努めています。
(2)プレート法
プレート法は、樹脂製の板(プレート)を爪に貼り付けて、爪の形を矯正する方法です。ワイヤー法と同様に、爪の表面を削って整えることが重要となり、この作業は爪矯正における基本的な手技です。
施術中や施術後に痛みを感じることは少ないため、麻酔が不要な場合がほとんどです。爪が伸びてきたら通常1〜2ヶ月ごとにプレートの交換を行いますが、爪の状態や治療の進行具合により、治療期間や頻度が異なる場合があります。治療の進行については、患者様の爪の状態に基づき、随時ご説明いたします。
プレート法もワイヤー法と同様で保険診療の適用外となるため、治療にかかる費用はクリニックによって異なります。また、ワイヤー法が適応しにくい爪が短い方や、爪が弱く割れやすい方にも適した治療法となることがあります。さらに、整容性が高く、目立たないため、見た目に配慮が必要な方にも施術を行えます。

以下は、当クリニックで行うプレート法の施術方法を説明します。
留意点※あくまで一例であり、すべての患者様に当てはまるものではありません。治療法の選択や進行については、担当医と十分にご相談ください。
※写真は個人差があるため、結果を保証するものではありません。
※すべての写真は施術前説明・同意の上で撮影されたものです。
※症例写真(掲載許可取得済)

樹脂製のプレートを使用します。
数種類あり、爪の状態に合わせて使い分けます。

左足親指の巻き爪です。
爪が内側に巻いています。

左足親指の巻き爪です。
爪が内側に巻いています。

爪の表面を削って整えます。
矯正において重要な手順の一つです。爪矯正にはさまざまな方法がありますが、どの方法にも共通する基本的な技術となります。

プレートを片側に貼り付けます。

プレートを倒すと食い込んでいた爪が持ち上がります。

倒したプレートの余分な部位を切り取り、ヤスリで形を整えます。

完成です。
貼り付けられたプレートは、爪に馴染みやすく、目立ちにくい仕上がりとなります。

以下は巻き爪について一般的なお話になります。
巻き爪の原因
巻き爪の原因は様々です。主なものには以下が挙げられます。
・不適切な靴
先が細い靴による圧迫
・体重負荷
立ち仕事や肥満などによる過度な体重負荷
・疾患
爪白癬(爪の真菌感染症)、糖尿病、腎不全などによる爪の変形
・爪や指趾の奇形
先天的または後天的な爪や指趾の形状異常
巻き爪の治療法
巻き爪の治療法は大きく分けて、以下の3つの方法に分類できます。それぞれの治療法には長所と短所があり、患者様一人ひとりの状態に合わせて最適な治療を選択することが重要です。
1.対症療法(痛みや炎症を和らげるための方法)
・爪切りの指導
正しい爪の切り方を学びます。
・履物の指導
足に合った靴を選ぶことで、爪への負担を減らします。
2.保存療法(手術をせずに爪の形を改善する方法)
・ワイヤー法
爪にワイヤーを取り付けて、爪の形を整えます。
・プレート法
樹脂製の板(プレート)を爪に貼り付けて、爪の形を矯正します。
・VHO法
爪の角が深く切られている場合に、爪を矯正する方法です。
3.手術療法(爪の一部を切除して、再発を防ぐ方法)
・鬼塚法
爪の一部を切除して、再発を防ぐ手術です。
・全抜爪術
爪をすべて抜いてしまう手術です。
・フェノール法
爪の一部を切除し、フェノール処置を行って再発を防ぐ方法です。
・爪床形成術
爪床を皮弁とし、爪の形を整える手術です。
各治療法の概要
ワイヤー法
ワイヤー法では、超弾性ワイヤーの強い弾力を利用して、爪の先端に穴を開け、ワイヤーを通して爪を矯正します。
o 麻酔が不要で、施術中および施術後の疼痛が少ない
o 合併症が少ない
o 治療に数ヶ月かかる場合がある
o 爪が十分に伸びていないと施術できない
o 再発の可能性がある
o 保険診療適用外
o 爪が弱い場合には割れることがある
プレート法
プレート法では、樹脂製の板(プレート)を爪に貼り付け、爪の形を矯正します。
o 施術中・施術後に痛みが少なく、麻酔が不要
o 合併症が少ない
o 見た目が目立たず、整容的にも優れている
o 短い爪や弱い爪でも施術可能
o 保険診療適用外
o 再発の可能性がある
o 手技が難しい
VHO法
VHO法は、爪の角が深く切られた場合に行われる治療法で、ガーター法やワイヤー法、ソフラチュールによる治療が不可能な場合や、応急処置として使用されます。
o 深爪の場合でも適用可能
o 保険診療適用外
o 疼痛や違和感が強い、ワイヤー法に比べて矯正力が劣る
鬼塚法
鬼塚法は、メスを用いて爪甲の側縁の爪母を切除する手術です。
短所
o 未熟な術者による施術では、爪母の取り残しや再発、上皮成分の埋入(epidermal inclusion cyst)が起こる可能性がある
o 術後の疼痛が激しく、数年後に爪の変形が生じることがある
全抜爪術
全抜爪術では、爪をすべて抜去し、一時的に疼痛を緩和します。
短所
o 再発率が非常に高い
フェノール法
フェノール法では、爪甲が食い込んだ部分を抜去し、フェノールで処置を行い、爪の再生を抑制します。
o 再発率が低い
o 手術時間が短い
o 術後の疼痛が少ない
o 感染を併発していても施術可能
o 完治には3〜4週間かかる
o 数年後に爪の変形が生じることがある
爪床形成術
爪床形成術では、抜爪後に爪床を皮弁とし、骨膜上で挙上し皮膚切開にて皮弁を広げて平坦にし、縫合します。これにより、爪床の形を変えて爪甲が側爪郭に食い込みにくくなります。
o 爪甲の幅は保たれ、整容的に優れた仕上がりになる
o 手技が複雑で、術後の疼痛が強い
o 1〜2週間の入院が必要
まとめ
このように、巻き爪の治療にはいくつかの方法があり、それぞれに適した治療法を選ぶことが重要です。治療方法については、専門の医師と相談の上、最適な選択をすることが大切です。