陥入爪(かんにゅうそう)
巻き爪
爪が巻いており、痛みを伴うことがありますが、必ずしも皮膚に刺さるわけではありません。また、痛みがなくても爪が巻いている場合があります。
陥入爪(かんにゅうそう)
爪自体は巻いていませんが、皮膚に爪が刺さっており、腫れや痛みが生じることがあります。
上記のような違いがありますが、巻き爪が酷くなり陥入爪を合併することもあります。
治療法を選択する際に重要なのは、患者様の痛みを軽減し、できるだけ快適に治療を受けていただくことです。また、治療後に後遺症が残らないよう、慎重に進めていくことも大切です。
陥入爪(かんにゅうそう)に関するよくある質問
Q1: 陥入爪はどのようにして治療しますか?
Q2: 治療を受けるとどれくらいで改善しますか?
Q3: 陥入爪が痛いのですが、治療は痛いですか?
Q4: 陥入爪の予防方法はありますか?
Q5: 陥入爪の治療は保険でできますか?

Q1: 陥入爪はどのようにして治療しますか?

A1: 陥入爪の治療方法には、プレート法、アクリル人工爪法などがあります。これらは爪が皮膚に食い込むのを防ぎ、痛みを軽減するための方法です。治療法は患者さんの爪の症状に合わせて選び、痛みの軽減や安全性に配慮する治療を心掛けております。患者様の負担をできる限り少なくすることを目指しています。

Q2: 治療を受けるとどれくらいで改善しますか?

A2: 陥入爪の治療の効果が現れるまでの期間は、症状の進行具合や治療法によって異なります。軽い症状の場合は数日で改善することもありますが、症状が進んでいる場合は数週間かかることがあります。診察時に具体的な治療計画をお伝えしますので、安心してご相談ください。

Q3: 陥入爪が痛いのですが、治療は痛いですか?

A3: できるだけ痛みを避けるような治療を心掛けております。もし治療中に痛みを感じることがあれば、すぐにお知らせください。痛みを最小限に抑える方法を取ります。

Q4: 陥入爪の予防方法はありますか?

A4: 陥入爪を予防するためには、爪を深く切りすぎないようにすることが大切です。また、靴が足に合っていないと爪に負担がかかるので、足にぴったり合った靴を選びましょう。歩き方や立ち方にも気をつけることが予防に繋がります。何か気になることがあれば、早めに相談してください。

Q5: 陥入爪の治療は保険でできますか?

A5: 当クリニックでは、陥入爪の治療に対して保険適用の方法もありますが、治療法によっては保険診療適用外となる場合もあります。診察時に治療方法について詳しく説明いたしますので、その際に費用についてもご確認いただけます。
※このQ&Aは一般的な情報に基づいており、効果や感じ方には個人差があります。症状に関しては必ず医師にご相談ください。
陥入爪のレクチャー目次
陥入爪の原因
陥入爪の症状と進行段階
陥入爪の治療法
各治療法の概要
・プレート法
・ガーター法(Gutter treatment)
・アクリル人工爪法
・テーピング固定法
・ソフラチュール挿入法
・鬼塚法
・全抜爪術
・フェノール法
・YAGレーザー・電気焼灼法による爪母の凝固術
まとめ

当クリニックで行っている治療法の具体例を説明します。
当クリニックでは、専門的な経験を基に、痛みの軽減や安全性に配慮した治療を心掛けており、患者様の負担をできる限り少なくすることを目指しています。
爪の状態に応じて、テーピング固定法やソフラチュール(コットンでも可)挿入法、重症であればアクリルやプレートによる人工爪法など複数の選択肢をご提案しております。
(1) アクリル人工爪法
アクリル人工爪法は、爪の先が極端に短い場合や角が切り落とされた場合など、他の治療法(ガーター法やソフラチュールの挿入)ができない場合に使用される治療法です。この方法では、爪の食い込んでいる部分を取り除き、その代わりにアクリルで人工の爪を作ります。人工爪は、爪が足の先端まで伸びるまで、しばらく使い続けます。
この治療の短所として、アクリルで作られた人工爪は、割れやすいことがあります。

以下は、当クリニックで行うアクリルを用いた陥入爪の施術方法を説明します。
留意点※あくまで一例であり、すべての患者様に当てはまるものではありません。治療法の選択や進行については、担当医と十分にご相談ください。
※写真は個人差があるため、結果を保証するものではありません。
※すべての写真は施術前説明・同意の上で撮影されたものです。
※症例写真(掲載許可取得済)

深爪をして爪が食い込んでいます。

アクリルによる人工爪を形成し、爪の食い込みを改善させました。
(2)巻き爪が原因である場合
巻き爪の治療を行います。

以下は陥入爪について一般的なお話になります。
陥入爪の原因
主な原因には以下のようなものがあります。
• 先の細い靴の着用
つま先が狭い靴を履くことで、爪が圧迫され、陥入爪になりやすくなります。
• 立ち仕事や肥満による体重の負担
長時間立っている仕事や体重が重いと、足にかかる負担が増え、爪が食い込むことがあります。
• 深爪や不適切な爪切り
:爪を深く切りすぎると、爪の端が皮膚に食い込みやすくなり、陥入爪の原因になります。
• 爪白癬(つめの水虫)や糖尿病、腎不全などの病気
これらの病気が爪の形を変え、陥入爪を引き起こすことがあります。
• 外傷や爪の異常
足をぶつけたり、爪の形が生まれつき異なる場合にも陥入爪が起こることがあります。
陥入爪の症状と進行段階
陥入爪が進行すると症状が変わります。以下の3つの段階に分けられます。
1. 第1期(軽度の発赤と炎症)
爪の周りが赤くなり、少し腫れることがあります。痛みはまだ軽度です。
2. 第2期(膿が出る)
炎症がひどくなり、膿が出ることがあります。痛みが強くなり、靴を履くのがつらくなることがあります。
3. 第3期(慢性炎症と肉芽の形成)
炎症が長期間続き、肉芽(新しい皮膚の塊)ができることがあります。出血しやすく、悪臭がすることもあります。
陥入爪の治療法
陥入爪の治療法は大きく分けて、以下の3つの方法に分類できます。それぞれの治療法には長所と短所があり、患者様一人ひとりの状態に合わせて最適な治療を選択することが重要です。
1. 対症療法(痛みや炎症を和らげるための方法)
• 爪切りの指導
爪を正しい長さと形に切る方法を学びます。
• 消炎鎮痛剤の使用
痛みや腫れを抑える薬を使います。
• 履物の指導
足に合った靴を選び、爪への圧迫を避けます。
• 局所の消毒
爪の周りを清潔に保ちます。
• 抗生剤の使用
感染がある場合に使います。
• 肉芽腫の治療
ステロイド外用,局注,液体窒素による冷凍凝固,硝酸銀焼灼を使います。
2. 保存療法(手術をせずに爪の形を改善する方法)
• プレート法
爪に樹脂製の板(プレート)を貼り、爪の形を矯正します。
• ガーター法
爪の端にチューブを挿入し、爪を持ち上げて食い込みを防ぎます。
• アクリル人工爪法
爪が欠けている部分に人工の爪を作り、爪の形を整えます。
• テーピング法
爪と皮膚の間にテープを貼り、爪の食い込みを防ぎます。
• ソフラチュール挿入法
爪の端にソフラチュールを挿入し、爪の食い込みを防ぎます。
3. 手術療法(爪の一部を切除して、再発を防ぐ方法)
• 鬼塚法(おにづかほう)
爪の一部を切除し、爪の幅を狭くします。
• 全抜爪術(ぜんばつそうじゅつ)
爪を完全に抜き、再発を防ぎます。
• フェノール法
爪の根元に薬剤を塗布し、爪の再生を抑制します。
• YAGレーザー・電気焼灼法
レーザーや電気で爪の根元を処理し、再発を防ぎます。
各治療法の概要
プレート法
プレート法は、当クリニックでの主要な治療法の一つです。この方法では、樹脂製の板(プレート)を爪に貼り付け、爪が皮膚に食い込まないように持ち上げるとともに、爪が欠けている部分には人工爪を作ります。自爪が足先端まで成長するまで、1〜2ヶ月に1回プレートを交換します。
痛みがすぐに改善し、施術中や施術後に痛みを感じることは少ないため、麻酔は通常不要です。合併症のリスクも低く、見た目も自然で目立ちません。
保険診療適用外。手技が難しい場合があります。
ガーター法(Gutter treatment)
ガーター法は1979年にWallace等により紹介され、ほとんどの症例に適応可能です。陥入している爪の外側をモスキート鉗子で持ち上げ、爪の形を整えます。その後、点滴用チューブを縦に切り、爪に沿わせて挿入し、ネイル用接着剤で固定します。このチューブは、爪が正常に成長するまで1〜3ヶ月間固定されます。チューブは、アセトンで簡単に外せます。
施術後の爪の形が自然に整います。
保険診療適用外。痛みや違和感が強い場合があります。
アクリル人工爪法
アクリル人工爪法は、爪の先が極端に短い場合や爪の角が欠けている場合など、他の治療法(ガーター法やソフラチュール)が難しい場合に使用されます。食い込んでいる爪の部分を切除し、その代わりにアクリルで人工の爪を作ります。人工爪は、爪が足の先端まで成長するまで使用し続けます。
• 短所
保険診療適用外。アクリルで作られた人工爪は割れやすいことがあります。
テーピング固定法
テーピング固定法は、爪の角が深く切られている場合、または他の治療法が適用できない場合に応急処置として行います。布製の絆創膏を使って炎症のある側爪廓に固定し、もう一方を反対側に斜めに引っ張るように回して固定します。
ソフラチュール挿入法
ソフラチュール挿入法は、モスキート鉗子で爪の外側を持ち上げ、ソフラチュールを挿入して爪の形を矯正します。経過に応じて定期的に取り替えます。
鬼塚法
鬼塚法は、メスを用いて爪甲の側縁の爪母を切除する手術です。
短所
未熟な術者による施術では、爪母の取り残しによる再発、上皮成分の埋入(epidermal inclusion cyst)が起こる可能性があります。術後の疼痛が激しく、数年後に爪の変形が生じることがあります。
全抜爪術
全抜爪術は、爪をすべて抜去し、一時的に疼痛を緩和します。
• 短所
再発率が非常に高い
フェノール法
フェノール法は、爪甲が食い込んだ部分を抜去し、フェノールで処置を行い、爪の再生を抑制します。
o 再発率が低い
o 手術時間が短い、術後の疼痛が少ない
o 感染を併発していても施術可能
o 完治には3〜4週間かかる
o 数年後に爪の変形が生じることがある
YAGレーザー・電気焼灼法による爪母の凝固術
陥入している爪を取り除き、YAGレーザーや電気メスで爪母を破壊し、再発を防ぎます。かかる治療費は保険診療適用外となります。
まとめ
このように、陥入爪の治療にはいくつかの方法があり、それぞれに適した治療法を選ぶことが重要です。治療方法については、専門の医師と相談の上、最適な選択をすることが大切です。