コラム
[2009年12月31日]

1FTUって何?


最近、軟膏を塗る指標として1FTUという単位が用いられるようになりました。FTUとは、Finger tip unitの略で、1FTUはチューブ型の軟膏を成人の人差し指の第一関節まで出したときの量(1FTU=0.5g)をあらわし、これが手の平2枚分の広さに塗布する目安とされています。
軟膏を塗る量というのはなかなか難しく、このように塗る量を明確に示せば指示する側も指示される側もわかりやすくてよいと思います。
ですが、残念ながら当クリニックではこのやり方は採用できません。

1FTUをもう少し詳しく説明しましょう。チューブの口径が0.5cm、成人の人差し指の第一関節の長さが2.5cm、軟膏1cm3=1gとして計算します。
体積は半径×半径×3.14×長さですから、0.25×0.25×3.14×2.5=0.49cm3となります。軟膏1cm3=1gですから、1FTU=0.49cm3≒0.5gとなります。
一見理にかなっているようですが一つ問題があります。
右の写真のように日本ではチューブの口径が統一されていないのです。写真左から口径を測ってみると0.5cm、0.4cm、0.3cmとなっています。口径0.3cmの1FTUは口径0.5cmの1FTUの36%しかありません。
アメリカでは口径が0.5cmに統一されているため1FTUが使用されていますが、その考えをそのまま日本に持ち込んでしまったようです。

以上が当クリニックで1FTUを採用しない理由です。

このような初歩的なミスが見逃され、1FTUという単位は広がり続け、日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」の「ステロイド外用薬外用量の指針」にまで採用されています。
1FTUという考え方はすばらしいと思いますので、早く国内のメーカーは口径を統一してほしいものです。



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